日本発「治療用アプリ」をグローバルに広めたい。CureApp米国事業部の挑戦

 


商社で長く製薬事業に携わってきた徐。
自らが高血圧症患者だということから「高血圧症向け治療用アプリ」に深く共感してCureAppに入社しました。

現在は米国事業責任者として、CureAppの治療用アプリを米国の医療マーケットに広めるため、戦略推進とチーム構築を担っています。
現地で調査を重ねる中で、「治療用アプリ」への高い期待感を日々感じているといいます。

そんな米国事業部では、現在、日本発の「治療用アプリ」の米国版を開発するエンジニアを募集中です。
米国事業責任者の徐に、仕事への想いややりがいを聞いてみました。


徐 子錚(ジョ シジュン)/米国事業責任者、NASHビジネスのアライアンス

伊藤忠商事に入社し、約9年間、医療ビジネスに従事。主に製薬事業に従事する。MBA取得後、フロンティアマネジメントにて、グローバルプロジェクトに従事した後、2021年9月にCureAppに入社。NASH(非アルコール性脂肪肝炎)向け治療用アプリにおけるサワイグループホールディングス株式会社とのライセンシング提携に従事、現在は米国事業責任者として米国展開を主導する。趣味は卓球。米国出張中に現地の卓球場をめぐることも。

 


高血圧患者の一人として共感


――CureAppに入社する前のお仕事について教えてください。

新卒で商社に入り、医療製薬ビジネスに長年携わりました。その中で、主に海外から医薬品の原料や錠剤などを調達し製薬会社さんに提案したり、海外への製造移管のプロジェクトなどを手掛けるなどしてきました。その後は経営コンサルティングファームに転職し、リストラクチャリングやM&Aなど企業経営の意思決定を支援する仕事をしていました。いずれ自ら経営に携わりたいという想いもあり、支援ではなく、自分で事業を立ち上げていく仕事をやってみたいなと思っていたときにCureAppに声をかけてもらいました。

――CureAppに入社したきっかけは。


これから伸びていくだろうヘルスケア事業に最前線として携わることができるのは素晴らしいチャンスだと思いました。また私自身も高血圧患者なので、一生薬と付き合っていかなければならないという悩みを抱えておりました。患者さんの生活習慣の修正を支援する「高血圧症向け治療用アプリ」のコンセプトに共感し、ぜひ世の中に広めたいとも思いました。

前職での経験を活かせることや、いずれ海外を舞台に働きたいと考えていたところとも合致しましたし、色んなことがまさにぴったりと合わさり入社を決めました。

――転職に迷いはありませんでしたか?


前職で昇進が決まっていたこともあり、声をかけてもらうまで全く転職するつもりはなかったんです。なので最初は迷っていました。でもCureAppでは、自分が意思決定できる部分が格段に多くなることや、リスクをとってチャンスをつかみにいくなら、年齢的にも今だなと、思い切って転職を決めました。



米国市場に「高血圧症向け治療用アプリ」を広めるために

――現在のお仕事について教えていただけますか。

現在は、米国事業責任者をしています。

CureAppでは、ニコチン依存症向け治療用アプリに続き、9月に高血圧領域においては世界初の保険適用となった高血圧症向け治療用アプリが世にでました。

米国事業は、主にこの高血圧症向け治療用アプリを米国の医療マーケットに広めていきたいと考えています。

米国では医療マーケット自体が日本の10倍以上あり、治療用アプリ領域でも数十社の会社が開発に乗り出しています。そのため日本よりも「治療用アプリ」が世の中に浸透しており、既に数百億円規模の売上を作り出す会社もいます。また、米国の高血圧患者は、日本の3,4倍の規模です。そのような大きなマーケットですが、高血圧においては、まだ弊社ほどクリニカルエビデンスが確立された治療用アプリは存在しておらず、そこに参入しようとしています。

今は日本で保険適用された「高血圧症向け治療用アプリ」を、現地に合わせた形でローカライゼーションし、どう広めていくか戦略を練っているところです。

日本のスタートアップとして世界的に成功している企業はまだ多くはありませんが、グローバルで成功できることを目指し奮闘中です。

――具体的には「高血圧症向け治療用アプリ」を、どのようにローカライゼーションするのでしょうか。


日本と米国で、高血圧の治療方針に大きな違いはありません。

ただ日本だと高血圧の主な原因としては塩分のとりすぎがありますが、米国の場合は食生活も異なることから肥満が要因になるなどの違いがあります。また好まれるデザインや、キャラクターなども違います。

そのためコンテンツの内容や見せ方、アプリ内のキャラクターの作り方、デザインなどを米国人の趣向に合わせる形で開発することが必要になります。


――現在の海外事業部はどのようなチームですか。


現在のCureAppの海外事業部は業務委託のメンバーも含めて計7名ほどになります。薬事承認のプロフェッショナル、ビジネス開発、そしてプロダクトマネージャー、UI/UXリサーチャーや米国での勤務経験のある医師などが所属するチームです。

子会社のCureApp North Americaがメインのオフィスで、GoogleやAppleのオフィスなども近くにある米国サンフランシスコのベイエリアにあります。

今後は、アプリ開発をリードしてくださるエンジニアさんを複数名チームに迎えたいと考えています。


「治療用アプリ」への高いニーズがやりがいに

――仕事のやりがいはどんなところにありますか。


現地で患者さんや医師のインタビューを進めていますが、「こういう治療用アプリがあれば、ぜひ使いたい」「ここをこう変えてくれたら、多分使うよ」という非常に前向きなコメントを頂いています。

日本に限らず、米国でも非常に高いニーズがあると感じられたことが、自信ややりがいにつながっています。

また、スタートアップの海外事業立ち上げということで、ゼロからチームで戦略を練り実践していくという貴重な経験が積めていることもやりがいですね。

――逆に難しさを感じるところは?


やはり米国の医療制度の複雑さでしょうか。米国ではすでに治療用アプリ領域で多くの会社が存在していてマネタイズもしている一方で、日本のように国民皆保険がなく医療制度が複雑です。

日本のビジネスモデルをそのまま適用することができないので、現地にあった、最短で多くの患者さんに届けるビジネスモデルを選択していく必要があります。

そのため日本で製品を広げてきた国内チームの知見を活かしながら、現地で調査を重ねてきました。最近、勝ち筋が少しずつ見えてきたというところですが、こういった1つ1つの積み重ねに手応えも感じています。

写真はInnovation Awardに参加した時の様子


純粋なパフォーマンス評価がうれしい


――CureAppに入社して驚いたことはありますか。また転職してよかったことはどんなことですか。


一番驚いたのは経営陣と距離が近いことです。社長が非常に話しやすい距離感で、従業員と同じようにオフィスにいるという状況に最初はかなり驚きましたね。

疑問を持ったときに経営者や上司にすぐに相談できますし、返事が返ってくるスピードも早いです。新規事業に対する意思決定のスピードが早いのも、やはりベンチャーならではですよね。

転職して良かったなと感じるのは、年齢によって自分の権限が定められていないことです。年功序列的なところがなく、純粋にパフォーマンスで評価してもらえるのは、とてもいいと思いますね。

――今後の目標について教えてください。


エンジニアさんを採用し、しばらくは日本と米国の2拠点で治療用アプリ開発体制を構築していくことが直近の目標です。

そして、「高血圧症向け治療用アプリ」を米国で上市させ、米国だけでも収益が立つような仕組みを作り上げていければと考えています。

高血圧は世界共通の疾患で、今回調査を進める中で米国でのニーズが高いことも明らかになってきました。今後、米国以外の国にも展開していきたいですし、高血圧症以外の治療用アプリもグローバルに展開していくことも考えています。



グローバルに活躍したいエンジニアを募集


――現在米国事業部では、エンジニアさんを募集中ですね。入社を希望される方にメッセージはありますか。

来年までエンジニアさんを4、5名募集する予定です。直近では、まず開発をリードして頂けるエンジニアさん2名を募集しており、入社頂いた暁には、最初は日本を拠点にしてアプリ開発について理解を深めていただき、1年前後で米国に移動していただくことを考えています。現在、私は日本で仕事をしているのですが、来年上旬には米国子会社に拠点を移す予定です。御入社頂いたエンジニアさんには、私と現地にいるプロダクトマネージャーやUI/UXリサーチャー、他のチームメンバーと机を並べて開発に携わっていただきたいです。

我々のビジョンに共感してくださることはもちろん、モバイルアプリの開発経験や開発に興味がある方、ゼロからビジネスを立ち上げることに意欲があり、いずれグローバルに活躍したいという意志のあるエンジニアさんに、ぜひご応募いただきたいです。

日本語能力に加えて、英語もビジネスレベルで話せることが望ましいのですが、簡単な会話ができ、意欲があればそこはカバーできると思います。まずはグローバルに活躍したいと考え、ビジョンに共感してくださるエンジニアさんをお待ちしております。

ご応募を心からお待ちしております。

先日アメリカボストンにて行われたDTxEASTでの登壇の様子




(取材ライティング/柳澤聖子)



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