<日本初の「アプリの治験」結果を米国胸部学会議2019 で公表> 国内第Ⅲ相臨床試験で禁煙外来におけるニコチン依存症治療用アプリの有効性を確認

慶應義塾⼤学医学部内科学(呼吸器)教室と株式会社キュア・アップは、共同で開発を進めて参りましたニコチン依存症治療⽤アプリに関しまして、⽇本初のニコチン依存症治療⽤アプリの治験を完了し、アプリの有効性を確認したことを報告致します。 
 
2018 年12 ⽉に国内第Ⅲ相臨床試験が完了しており、先⽇⽶国ダラスで開催された⽶国胸部学会(ATS)2019 の Late Breaking Clinical Trials Session において、慶應義塾⼤学医学部内科学(呼吸器)教室の舘野博喜医師が本治験結果の発表を⾏いました。 
禁煙治療における治療⽤アプリの有効性を検証するための主要評価項⽬として設定した9-24 週における継続禁煙率*は、対照群と⽐べ、治療⽤アプリを使⽤した治験治療群で統計学的有意に⾼く、ニコチン依存症治療⽤アプリが禁煙の継続に寄与したことが⽰されました。
 
 *9-24 週における継続禁煙率:禁煙治療開始後9 週⽬から24 週⽬まで禁煙を継続している割合

本治験について 
今回結果が発表された治験は、禁煙外来を受診するニコチン依存症患者を対象として、標準禁煙治療プログラムに加えてニコチン依存症治療⽤アプリを併⽤した際の有効性・安全性に関する多施設共同、無作為化、前向き2 群⽐較対照介⼊試験です。本治験においては、標準禁煙治療プログラムに加えて、治験治療群ではニコチン依存症治療⽤アプリ(患者⽤スマートフォンアプリケーション及び、医師⽤Web アプリケーション、患者⽤ポータブルCOチェッカー)が、対照群には対照機器(対照群アプリ)がいずれも24 週間使⽤されました。 
本治験に参加した584 例のうち、解析対象となった症例が572 例で、285 例がニコチン依存症治療⽤アプリを使⽤する治験治療群、287 例が対照群アプリを使⽤する対照群に割り振られました。主要評価項⽬は、「9-24 週における継続禁煙率(CAR:Continuous AbstinenceRate)」です。
 
 
有効性について 
主要評価項⽬である、9-24 週における継続禁煙率は治験治療群が63.9%(182/285 例)、対照群が50.5%(145/287 例)でした。治験治療群は対照群に対して13.4%⾼く、オッズ⽐は1.73 と、統計学的な有意差を⽰しました(95%CI:1.239〜2.424、p=0.001)。主要評価項⽬である9-24 週における継続禁煙率は、対照群と⽐べ治験治療群で統計学的有意に⾼く、ニコチン依存症治療⽤アプリが禁煙の継続に寄与したことが⽰されました。 
キュア・アップ社の代表取締役社⻑で呼吸器内科医の佐⽵晃太は、次のように述べています。「従来の禁煙治療では、受診から次の受診までの間、医療者はニコチンの⼼理的依存に治療介⼊することが難しく、患者さんは孤独な戦いを強いられるという課題がございました。⽇々患者様をサポートし治療空⽩を埋めることのできるニコチン依存症治療⽤アプリをできるだけ早くより多くの患者さまへお届けできるよう、薬事承認・保険適⽤に向け尽⼒して参ります。」
 
 
ニコチン依存症について 
ニコチン依存症は、薬物依存症の⼀つであり、その依存性の強さはヘロインやコカインなどの⿇薬と同じくらい⾼いと⾔われています**。また、喫煙習慣は死亡要因のトップとなる習慣***ですが、⽇本国内でも依然として全成⼈うちの17.7%が習慣的に喫煙をしています****  
 
 
 **参考: ⽇本医師会 「禁煙の医学」 
***参考: 厚⽣労働省 「2007 年の我が国における危険因⼦に関連する⾮感染症疾病と外 因による死亡数」 
 ****参考:厚⽣労働省 「平成29 年 国⺠健康・栄養調査の概要」 <https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf>

 
株式会社キュア・アップについて 
株式会社キュア・アップは、⾼度なソフトウェア技術と医学的エビデンスに基づいた疾患治療⽤プログラム医療機器創出に向け、研究開発を⾏い、製造販売を⽬指すMedTech ベンチャーです。「アプリが病気を治療する効果を持つ」という新しい医療サービスを⽇本で初めて実現するために、病気を治療するアプリである「治療アプリ」の開発に取り組んでいます。 
現在、研究開発中の治療アプリは慶應義塾⼤学医学部内科学(呼吸器)教室と共同開発(現在治験終了)のニコチン依存症治療アプリ、東京⼤学医学部附属病院と共同開発・臨床試験中の⾮アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療アプリ、⾃治医科⼤学内科学講座循環器内科学部⾨と共同開発・臨床研究中の⾼⾎圧治療アプリがあります。 
 
加えて、これら医療機関向け治療アプリの開発で蓄積した知⾒を活⽤し、⺠間法⼈向けモバイルヘルスプログラムの「ascure(アスキュア)卒煙プログラム」、「ascure STEPS ⽣活習慣改善プログラム」を提供し、多くの企業、健康保険組合などへの導⼊をいただいています。 
さらには、⽇本で⽣み出したモデルをベースに「⽇本発のデジタルヘルスソリューション」として、順次グローバルにも展開していく予定です。