慢性腰痛症向け治療用アプリ 福島県立医科大学と共同研究を開始
慢性腰痛症向け治療用アプリ 福島県立医科大学と共同研究を開始
運動療法と心理療法を組み合わせたデジタル療法で医師と患者に寄り添う
実施の背景
慢性腰痛症とは3ヶ月以上腰の痛みが続いている状態であり、若年層から高齢者まで幅広い年代で見受けられます。また、慢性腰痛症は、腰に原因があり痛みが生じているケース以外にも、腰に器質的な異常がないにもかかわらず痛みが生じているケースが存在します。慢性化するとその痛みの要因は1つではなく、より複雑に絡み合うことが分かっています*1。特に、痛みに関しては精神的・感情的な影響を受けやすく、脳内の神経伝達物質による鎮痛作用の低下や痛覚過敏などの症状を引き起こします。ストレスや不安を感じている状況が長期間続くと、心理社会的因子との循環的相互作用により難治化・重症化し、QOLの低下へ繋がり悪循環を引き起こします。
日本における顕在患者数は1086万2000人/年(2018年)*2にのぼり、国民病と言われる高血圧症、脂質異常症、糖尿病に並ぶ被診断者数です。有訴患者数に至っては最多、生活の質の低下・業務効率の低下・他の疾病の発症に繋がる疾病負荷を示す障害調整生存年数(2019年)は脳卒中に次いで2番目に大きな値となります。
また、現在推奨されている集学的治療は、多分野・多職種による治療介入が必要となり医療機関と患者さんの負担が大きく、治療継続の高いハードルとなっています。
*1: 慢性疼痛診療ガイドライン(2021)
*2: 慢性腰痛症市場レポート DelveInsight Business Research LLP (2022), Chronic Lower Back Pain (CLBP) – Market Insight, Epidemiology, and Market Forecast – 2030, p. 107
慢性腰痛症における治療用アプリの可能性
福島県立医科大学医学部整形外科学講座 紺野 愼一 主任教授 コメント
本治療用アプリは集学的治療が困難な多くのプライマリケアに必須のツールに発展していく可能性があります。
紺野 愼一 先生 略歴
1993年 ヨーテボリ大学整形外科
1994年 福島県立医科大学医学部整形外科学講座 助手
1998年 福島県立医科大学医学部整形外科学講座 講師
2007年 福島県立医科大学医学部整形外科学講座 准教授
2008年 福島県立医科大学医学部整形外科学講座 教授
2017年 福島県立医科大学副学長兼理事
2020年 福島県立医科大学副理事(研究、教育担当) 現在に至る
福島県立医科大学医学部整形外科学講座 二階堂 琢也 准教授 コメント
慢性腰痛の原因は多因子であり、多職種による集学的治療が望ましい治療です。一方、実際の臨床で集学的治療体制を確立するには、医療機関の人的・金銭的負担が大きく容易ではないという現実があります。その実情を反映するように、集学的治療が可能な施設数は未だ十分とは言えません。治療用アプリはまさにその理想と現実の溝を埋めることができると考えています。慢性腰痛の治療では、患者さんの“受け身”の治療から、患者さん自身が積極的に治療に関わる“自主性”がとても大切です。治療用アプリでは、患者さん自らが治療に参加できることから理にかなったアプローチだと言えます。治療用アプリが医療者、患者さんのいずれにも有益なツールになることを期待しています。
二階堂 琢也 先生 略歴
2001年 福島県立医科大学大学院医学研究科修了
2014年 福島県立医科大学大学整形外科学講座講師
2018年 福島県立医科大学大学整形外科学講座准教授
福島県立医科大学について
株式会社CureAppについて
2014年に医師である佐竹晃太と鈴木晋が創業した医療系スタートアップで、治療効果が治験にて証明され医療現場で医師が患者に処方する「治療アプリ®」を研究開発・製造販売する医療機器メーカー。2020年、スマートフォンで動作する疾患治療用のソフトウェア医療機器として、禁煙治療領域において世界初の薬事承認および保険適用。その後、高血圧症領域においても2022年4月に世界初の薬事承認取得、同年9月に保険適用。その他、NASH / アルコール依存症 / がん / 慢性心不全など複数の疾患に対する治療用アプリの開発を進めている。また、民間法人向けの健康増進サービスであるascureモバイルヘルスプログラムも運営し、現在230法人以上で導入されている。
CureAppが取り組む事業
さらには、日本で生み出したモデルをベースに「日本発のデジタルヘルスソリューション」として、米国を中心にグローバルにおいても展開予定です。
※慢性腰痛症向け治療用アプリは研究開発中の未承認医療機器です。