CureApp×Goodpatch ヘルスケア勉強会 「インクルーシブデザインとアクセシビリティ」


CureApp × Goodpatchによる合同勉強会



治療アプリで新しい医療に貢献するCureAppと、デザインカンパニーであるGoodpatchが協働し、2023年3月より合同勉強会を始めました。

ヘルスケアデザインの社会的なニーズが高まるなか、健康、医療、デザインに関するお互いの知見を共有し、議論を重ねることで、より品質の高いデザインを目指します。

第1回は株式会社Goodpatchのヘルスケアワーキンググループがファシリテーターとなり、多様なユーザーに最適なデザインを届ける「インクルーシブデザインとアクセシビリティ」について議論をしました。

CureAppがファシリテーターを務めた第2回「健康における行動変容デザイン」は、Goodpatchのサイトで報告されています。

https://goodpatch.com/blog/2023-06-cureappxgoodpatch

インクルーシブデザインとアクセシビリティ


どのようなプロダクトでも、使う人はそれぞれ異なっています。ある人には快適なデザインでも、他の人は使いづらいと感じるかもしれません。年齢、性別、人種、体や心の状態、社会的状況など、それぞれのユーザーの多様性に対して、どのようにデザインをしていけばいいのでしょうか?

この問題の解決に取り組むのが、インクルーシブデザインという概念です。定義はいくつか存在し、たとえばMicrosoftは以下のように提唱しています。

                                          
“インクルーシブデザインとはデジタル環境から生まれた、幅広い人間の多様性を尊重し、活用するためのデザイン方法論です。最も重要な要素はさまざまな視点を持つ人々を包摂し、彼らから学ぶことです。


https://twitter.com/ApollonTweets/status/1119276463016951808?s=20


上の例では、自分の肌の色に合った絆創膏を貼ったときの感動が訴えられています。

絆創膏といえば特定の色をイメージしますが、その常識に疑いの目を向け、常識から排除されてきた人たちを視野に入れることで、インクルーシブデザインは実現されます。

また、近い概念にアクセシビリティがあり、こちらはすべてのユーザーがさまざまな状況で、物を手に取る・情報を取得する・場所へ行くといったあらゆる行動(アクセス)ができる度合いを表します。



インクルーシブデザインがデザインアプローチであるのに対し、アクセシビリティは性質を指します。インクルーシブデザインを実現する上でアクセシビリティは必ず担保されるべき要素です。

こうした概念と方法については、Goodpatchの社内勉強会の記事でより詳しく書かれています。

Goodpatch Blog「排除を考えることから始めるインクルーシブデザイン」
https://goodpatch.com/blog/inclusive-design


そして今回の勉強会での議論を通じ、さらに現実的な課題やアプローチが見えてきました。

ユーザーをインクルーシブに理解する


インクルーシブデザインを実現するために、幅広いユーザーを想定する必要がありますが、自分とは違う特徴を持った人たちを自分のことのように想像することは簡単ではありません。議論では以下のような意見が出ました。


想定するユーザーの範囲
個人の持つ不自由さは千差万別であり、プロダクトデザインでどこまでのアクセシビリティをカバーするかをはっきり定義することはできない。


不自由さのイメージ
自分にはない不自由さを持つ人の行動をイメージすることは難しい。たとえば高齢で指の乾燥が強くスマートフォンが反応しにくい人や、がん患者でしびれを日常的に持っている人など、自分の知識では想像すらつかない問題も多く存在する。


特定のユーザーへのアプローチ
病気や障害をもつ人たちについて知りたいと思っても、インタビューや観察に応じてくれる人とはなかなか出会えない。体調や心理面への配慮も多くなり、細かい気遣いが必要になる。

さまざまな人の持つ課題を主観的、客観的に理解したい想いはあっても、どのように理解するかのハードルは多いことがわかります。

アクセシビリティを実装する


デザインを実装するタイミング
アクセシビリティは開発の早い段階で検討しておかないと、機能によっては完成した後からの追加が難しいことも多い。



費用対効果
届けたいユーザーの範囲によっても実装するアクセシビリティのレベルは変わってくる。ユーザーが限られるプロダクトの初期段階からあらゆるアクセシビリティに配慮しようとすると、費用対効果が見合わない。

想定できるすべてのユーザーの課題を見つけ出し、誰もが不自由なく使えるインクルーシブデザインを実現できれば理想的です。しかし開発の工期やリソースを考えると最初から完璧な実装が難しいのも事実です。

いきなりすべてを網羅しようとせず、まずは最もプロダクトを届けたいユーザーに向けて開発を進めることが大切です。ターゲットとなるユーザーの範囲を定めた上で、その外側にいるユーザーを想定し、プロダクトが包括できる範囲を広げていくことがインクルーシブデザインの現実的な方法かもしれません。

インクルーシブデザインやアクセシビリティに関する既存のガイドラインを参照し、デザインの原則を初期段階で定めておくことも有効です。



合同勉強会はこれからも続きます


デザインの世界をリードするGoodpatchのみなさんと議論することにより、自分たちとは異なる視点からの思考が得られ、とても刺激的な勉強会でした。また、組織の垣根を超えた文化交流をはかることで、さまざまな共通点、相違点が見えることも興味深い体験でした。


医療、ヘルスケア、デザインといった裾野の広い領域で優れたプロダクトを産み出すには、幅広い知識と経験、感性が必要です。CureAppとGoodpatch、互いの学びをさらに深めていくことで、社会に柔軟に貢献するデザインを発信していきます。

株式会社CureAppではいっしょに働く仲間を募集しています


本勉強会にはデザイナーだけでなく、社内のさまざまな職種の方が参加しました。部署や業種の垣根を超えて互いの知見を交換しあえる文化がCureAppにはあります。

興味をもたれた方はぜひお気軽にご相談ください!

採用の詳細はこちら:https://hrmos.co/pages/cureapp



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