今年の異常な猛暑で起こった血圧の変化


今年の異常な猛暑で起こった血圧の変化

ー夏の冬型化が起こっていた?ー

急激に寒くなる秋冬は塩分過多と室内温度差に要注意




株式会社CureAppは9月26日(火)に、高血圧症向け治療アプリを用いたスマート降圧療法における実臨床データの発表を行いました※1。その中で、スマート降圧療法を実際に導入されている野村医院の野村和至院長にご登壇いただき、スマート降圧療法を利用した患者さんの感想やデジタル化を推進することで変わった医療現場についてお話しいただきました。

 また、最近の血圧トピックとして猛暑だった今年だからこそ起こった血圧変化とこれから秋冬にかけて気をつけるべきこともレクチャーいただきましたので、その内容をご紹介します。



血圧の季節変動と近年の傾向

 血圧は通常、冬に上昇し夏に低下することが知られており、治療中の高血圧患者において、血圧値は1月中旬から下旬が最も高く、7月下旬〜中旬が最も低いと言われています。季節の中で最も高い血圧値と最も低い血圧値を比べると、収縮期血圧で6.7mmHg、拡張期血圧で2.9mmHgもの差があります※2。しかし、今年の特別な猛暑の中で、血圧が上昇する人が多く感じたと野村先生は話されます。その理由として、下記が挙げられます。




・脱水・熱中症予防のための塩分過剰摂取

高血圧学会でも高血圧の人は原則として夏でも適切な減塩が必要と言及している※3。夏の塩分過剰摂取については2〜3年前からよく言われていることである※3


・猛暑・コロナ禍の閉じこもりによる発汗減少、運動不足や肥満

 今年の8月は観測史上初の31日連続真夏日となり、危険な暑さが続いた。それによる外出控えやコロナ禍の影響で運動不足が続き、血圧が上昇する要因となったのではないか。


・室内外の気温差による身体的なストレス

 外出を控えることにより、1日中涼しい環境にいることが多くなった。涼しい環境から外に出ることで血圧の変動が起こり、夏の冬型化が起こっているのではないか。




秋〜冬にかけてこれから備えるべきこと

 つい直前まで真夏日が続いていましたが、10月に入ってから朝晩は急に冷えるようになってきました。今後、秋から冬にかけて徐々に血圧が上昇していきます。夏に比べて発汗が少なく、鍋物など塩分の多い食事が増えることや、運動不足になりがちで体重が増えてしまうことが要因として考えられます。
 秋~冬にかけては以下に気をつけて過ごしてください。




・ヒートショックに注意

 生活習慣による血圧上昇の他にも、心血管病のリスク因子となる血圧の日内変動※4が増大します。よく耳にするのが、ヒートショックという言葉ではないでしょうか。ヒートショックとは、温度の急激な変化で血圧が大きく変動することによって、失神したり心筋梗塞や脳卒中といった心血管の病気などを引き起こしてしまうことです。冬場は脱衣場・浴室・トイレなどの移動時や外出時には温度の急激な変化に注意が必要です。


・室内の温度差をなくすことが重要

 ヒートショックを未然に防ぐためには、なるべく室内の温度差をなくすことが重要です。断熱改修等による生活空間の温熱環境の改善で血圧が有意に低下したというデータもあり、国も「健康・省エネ住宅」の整備を推進しています※5


※1:2023年9月26日開催「スマート降圧療法RWD発表記者会見」での野村先生発表内容より抜粋

※2:HOMED-BP study

※3:夏の日常生活における水分と塩分の摂取について(日本高血圧学会)

※4:体温や血圧などのバイタルサイン、精神症状などが1日のなかで変動すること

※5:断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(国土交通省)


ご登壇者


野村 和至先生
医療法人社団 野村医院 院長
医学博士 内科認定医 糖尿病専門医 老年科専門医•指導医
東京大学医学部附属病院老年病科非常勤講師
板橋区医師会理事
東京都医師会医療情報検討委員会委員長
日本老年医学会代議員高齢者医療委員会委員
日本糖尿病学会評議員



スマート降圧療法について
 お薬と同じように臨床試験で有効性や安全性が確認され国から医療機器と認められた「高血圧症向け治療アプリ」をスマートフォンに入れて、保険適用でお医者さんと一緒に治療を行います。現在全国の1000を超える医療機関で提供されています。



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