CureApp×Goodpatch ヘルスケア勉強会 #4「医師の解像度を上げる」

 

CureApp × Goodpatchによる合同勉強会



治療アプリで新しい医療に貢献するCureAppと、デザインカンパニーであるGoodpatchが協働し、2023年3月より合同勉強会を始めました。

ヘルスケアデザインの社会的なニーズが高まるなか、健康、医療、デザインに関するお互いの知見を共有し、議論を重ねることで、より品質の高いデザインを目指します。

第4回はCureAppの小林 啓がファシリテーターとなり、ヘルスケアプロダクトの開発で何らかの形で関わる「医師とは何か?」について、医療の専門家ではない方たちに紹介しました。

Goodpatchがファシリテーターを務めた第3回「UXデザインの最初の一歩としてのユーザーリサーチ」は、Goodpatchのサイトで報告されています。

医師になるプロセス

医師になるためには医学部6年間を卒業し、医師国家試験に合格して医師免許を取得する必要があります。そして初期研修2年間を修了後、専門の診療科の医師として働くのが大半の医師の就職プロセスです。




内科や外科など自分がどの診療科の医師になるかはほぼ自分の裁量で決めることができ、途中で診療科を変えることも法律的な制限などはありません。


医師の仕事


医師の最も特徴的な業務は患者の診療です。医師として目の前の人に対峙した瞬間から、その人の健康と生命に責任を負うことになります。

診療は大きく診察→検査→治療というプロセスにわかれ、情報収集と評価を繰り返すことで患者に応じた治療を臨機応変に展開します。




医療の手段の価値はエビデンスで規定されており、厳密な研究デザインで統計的に有効であることに重きを置いています。

ただし、治療の全てがエビデンスで決まるわけではなく、経験とエビデンスの組み合わせで最適化していくのが現状です。




また、治療は医師一人で行うものではなく、さまざまな医療スタッフや患者家族と連携することで、その人にとっての最善の手段を模索し続けています。


また、医師の仕事は診療だけでなく、教育、研究、病院経営、公衆衛生など多岐に渡り、社会全体や未来の医療に対する責務も請け負っています。

医師の多様性


医師の特徴についてさらに深めていくと、いかに多様であるかについて気付かされました。



超多忙な最前線で診療に従事する医師もいれば、診療のウエイトを減らして他の仕事をする医師もいます。

クリニック院長や病院勤務医などのワークスタイル、年代や診療科などでも価値観はさまざまであり、同じカテゴリに属する医師でもかなり個性があります。

こうした特徴のある医師たちとデザインの現場でどう関わればいいのか?コミュニケーションの観点からさらに考えてみました。

デザイナーと医師のコミュニケーション


プロダクトデザインのプロセスにおける医師との接点は、UXリサーチのインタビュー対象、共同開発者、プロダクトのカスタマーなどに分けることができます。

リサーチの対象としては、その医師の専門性について把握することが大切です。

専門性が高い医師ほど聞き手の関心のある病気や学会の事情について正確に深く知ることができ、専門性が高くない医師からは、一般的な医師の視点に近い意見を聞くことができます。




また、質問をした際にその医師の診療の範囲でコメントが限定されることがあるため「一般的なクリニックの場合はどうですか?」など、イメージを広く持ってもらう質問を挟むことも大事です。

共同開発者としては、さらに関わりが深くなるため人となりを十分に把握しておきたいです。

本業がどれだけ忙しいか、どの範囲の専門家か、コミュニケーション能力はどうか、医療以外のスキルはあるかなど、チームメンバーとしてどのくらい関わってもらうかにも影響してきます。

カスタマーとしての関わりは、さらに広く多様な分析をしていく必要があります。

一人の意見に流されすぎず、医療の行動や思考のパターンを見極め、介入を最適化していかなければいけません。




多くの医師に共通しているのは、認知的、時間的、作業的なコストパフォーマンスをできるだけ最大化したいことと、患者にとって有効で安全なものであるかというペイシェント・ファーストの視点です。


じっくりと医師というユーザーを理解し、多様なナレッジを整理して共有しながらデザインをよりブラッシュアップしていくことが求められます。

多様な視点でヘルスケアデザインをとらえる


今回はヘルスケアデザインにおける「医師」の存在を考察してみました。医療に介入するプロダクトであれば医療者と患者という複数のユーザーを想定する必要があり、日常的なヘルスケアプロダクトでもデザインの過程で医師との接点は生まれます。


視点を増やしデザインの解像度を高めるために、専門家の思考や行動を深く知ることの価値はあると考えます。今回の知見がこれからのリサーチや開発に少しでも役に立つと嬉しいです。


株式会社CureAppではいっしょに働く仲間を募集しています


本勉強会にはデザイナーだけでなく、社内のさまざまな職種の方が参加しました。部署や業種の垣根を超えて互いの知見を交換しあえる文化がCureAppにはあります。

興味をもたれた方はぜひお気軽にご相談ください!

▼採用の詳細はこちら

https://hrmos.co/pages/cureapp