【高血圧情報】寒暖差に要注意!心筋梗塞や脳卒中のリスクも 気温のジェットコースターが高血圧に与える影響とは?



朝晩と日中の気温差が10℃以上になることも多い秋。この寒暖差によって心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。また、気象庁の発表によると、今年の冬は暖冬傾向にあり、気温が例年より高くなることが予想されます。寒暖差のある季節や暖冬予報の今年、高血圧患者は何に気を付ければ良いのでしょうか。高血圧治療の第一選択として推奨されている生活習慣改善の観点からご紹介します。



寒暖差によって引き起こされる血圧上昇に注意

朝晩は急激に寒くなりましたが、昼間は暑さを感じる日が続きます。各所の平均気温を見ても最高気温と最低気温で10℃以上の差がみられます。一般的に、寒暖差が7℃以上あると自律神経の働きが乱され、寒暖差疲労が引き起こされやすいと言われています。自律神経が乱れると血圧が上がりやすくなるので、注意が必要です。また、寒暖差が大きく血圧変動が激しくなることで血管の内側が傷みやすく、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性が高まります。

今年の冬は暖冬傾向?起こりうる血圧のリスク

気象庁の発表によると、今年の11月〜1月にかけての気温は、寒気の影響が弱いため東・西日本と沖縄・奄美では高く、北日本では平年並か高い見込みです※1。また、同庁が発表するエルニーニョ監視速報では、今年の春からエルニーニョ現象が続いており、今後も続く可能性が高いと予測。エルニーニョ現象が発生している際の日本の冬は気温が高くなる傾向があります※2。記録的暖冬となった2019年〜2020年の冬は、家電製品や冬物衣料の売れ行きが不調ということがありました※3。しかし、暖房を控えたり防寒対策を怠ることによって寒さを感じやすくなり、血圧が上昇する恐れがあります。暖冬とはいえ冷え込む日もあるので、普段の防寒対策は十分に行うことが必要です。

暖冬での血圧対策や冬に気をつけたい生活習慣

高血圧になる要因としてあげられる生活習慣を改善することで、血圧を良好にコントロールすることができます。暖冬予報である今年だからこその高血圧対策もあわせてご紹介します。



■暖冬は野菜が安い!?野菜を積極的に摂りましょう

暖冬の影響で野菜の生育や収穫時期が早まることで野菜の価格が下がる傾向があります。農水省が発表している野菜の生育状況及び価格見通し(令和5年11月)では、平年より価格が上回っていた多くの野菜が、11月後半には平年並みに落ち着く見込みです※4。野菜や、いも類、果物などに多く含まれるカリウムにはナトリウムを体の外に出す作用があるため、カリウムを含んだ食品は降圧効果が期待できます。この機会に積極的に野菜を摂るようにしましょう。ただし、重度の腎障害がある場合は、カリウムを多く摂取することによって高カリウム血症を引き起こす可能性があるため、担当医とよく相談することが大切です。



■冬は塩分量が多くなる!塩分摂取量を意識しましょう

冬場はラーメンやおでんなど、温かいものを食べる機会が多くなる傾向があります。高血圧治療ガイドライン2019では、高血圧の人は一日の総塩分摂取量を1日6gに抑えることを推奨しており※5、ラーメンのスープを残したり、おでんの練り物を少なめにするなど、小さな積み重ねで塩分摂取量を減らすことがよいとされています。




高血圧治療の第一歩は生活習慣の改善から

高血圧の治療には、薬物療法(薬による治療)と、非薬物療法(生活習慣改善、いわゆる”薬じゃない治療”)があります。高血圧の主な原因として考えられるのは、塩分の摂りすぎや運動不足といった生活習慣の乱れであり、生活習慣を改善することが高血圧治療の第一歩となります。ただ、一人で生活習慣を改善しようと思っても中々続かない方も多いのではないでしょうか。一人で継続することが難しいときは医師と一緒に取り組むことも一つの手です。薬が必要になった時や心配が生じた時も、医師に相談することで最適なアドバイスをもらうことができます。

さらに最近はスマートフォンを使って、医師と一緒に取り組む新しい治療「スマート降圧療法」が広まっています。「自分ひとりでは生活習慣の改善が思うようにいかない」「薬じゃない治療から開始したい」「お薬の数・量を増やしたくない、減らしたい」と思っている方におすすめの治療法です。高血圧について悩みや不安を持っている方はお近くの病院(医療機関)へご相談ください。

「薬じゃない高血圧治療」の情報サイトでは、「薬じゃない高血圧治療、スマート降圧療法を含む『高血圧の生活習慣改善に注力している病院』」もご紹介しています。



※1:https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?term=P3M

※2:https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html

※3:https://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2020/0410/1236.pdf

※4:https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/engei/231031.html

※5:https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf



監修医師

有馬 久富(ありま ひさとみ)先生

福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 主任教授

1993年九州大学医学部卒業。九州大学第二内科へ入局し、久山町研究に従事。
シドニー大学ジョージ国際保健研究所客員研究員、九州大学環境医学分野助教を経て、2008年より再びシドニー大学ジョージ国際保健研究所で講師として2年間、准教授として3年間大規模臨床試験に従事。
2014年より2年間、滋賀医科大学アジア疫学研究センターで特任教授として疫学研究に従事後、2016年4月より現職。専門分野は、高血圧・脳卒中の疫学および臨床研究。

スマート降圧療法について

 お薬と同じように臨床試験で有効性や安全性が確認され国から医療機器と認められた「高血圧症向け治療アプリ」をスマートフォンに入れて、保険適用でお医者さんと一緒に治療を行います。現在全国の1000を超える医療機関で提供されています。


このブログの人気の投稿

日本スタートアップ大賞2023 審査委員会特別賞受賞

当社に関する一部報道について

商標「治療アプリ」に関するお知らせ