血圧が高い方のための人間ドックの受け方


7月12日は人間ドックの日
高血圧要因の重篤な疾患を早期発見する機会

血圧が高い方のための人間ドックの受け方


暑い日が続き、心身の健康の大切さを改めて実感する季節に突入しました。7月12日は、公益社団法人日本人間ドック・予防医療学会*1によって制定された「人間ドックの日」。日本で人間ドックが初めて組織的に行われたのは今から約80年前。人間ドックの「ドック」は病院という意味の俗語もあるようですが、一般的には船を点検・修理するためのドック(dock)に由来し、人間も定期的にドックに入る必要がある、という考えから生まれた言葉と考えられています*2。高血圧が原因となる重大疾患も、人間ドックで検査できるものがあります。今回は血圧が高い方のための人間ドックの受け方をご紹介します。
*1 https://www.ningen-dock.jp/
*2 https://www.ningen-dock.jp/0712dock/

人間ドックとは?健康診断との違いは?

人間ドックは予防医学の観点から、自覚症状の有無に関係なく個人が任意で受ける任意健診です。一般健康診断よりも検査項目が多く、40〜100項目程度のより高度な検査で普段気づきにくいところなど、全身を徹底的に検査することが可能です*3
*3 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-093.html

高血圧が原因となる疾患*4

高血圧は下記の重大な原因疾患となります。人間ドックでは、検査項目によってはこれらの疾患または要因となるリスクを早期発見できることが期待されます。早期発見することも大事ですが、日頃からの適切な血圧管理によって、高血圧合併症の発症予防や進展の抑制をすることも重要です。

脳卒中

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血 など

心臓病

冠動脈疾患、心肥大、心不全など

腎臓病

腎硬化症など

認知症

血管性認知症、アルツハイマー病、脳血管障害や脳微小血管病など

*4 https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf

高血圧症などの生活習慣病に関するオプション検査

高血圧や脂質異常などは一般健康診断で調べられますが、これらが原因となる重大な疾患は、通常の健診等では発見しにくい疾患です。こういった疾患の発生を未然に防ぐ、または早期発見を目的として下記のような専門ドックなどのオプション検査が提供されていることもあります。高血圧などの生活習慣病にかかっている方や喫煙習慣のある方は、追加を検討してもよいでしょう*5

脳ドック

脳の断面や脳血管を診てもらえます。施設によっては頸動脈超音波検査を合わせて行ったり、簡易認知機能検査なども行っています。

心臓ドック

心電図や心臓超音波、血液検査や心臓CT検査、頸動脈超音波検査などが実施されます。

動脈硬化に関する検査

血管の働きや機能、血管壁の硬さや厚さなどを調べます。血管機能検査・血管内皮機能検査・血圧脈波検査・頸動脈超音波検査などがあります。

*5 https://www.e-ningendock.jp/know/page-1/

高血圧の原因となる睡眠時無呼吸症候群

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、脳血管障害を引き起こす危険因子です。また、高血圧の原因の一つでもあり、遺伝・体質・生活習慣以外に原因のある二次性高血圧の最も多い要因です。高血圧の方にも多く見られるため、適切な治療を受けることが大切です。指などにセンサーを付け、睡眠時の酸素濃度を調べる検査があります。

おわりに

自分の体の状態を知ることはとても大切です。高血圧が引き起こす様々な疾患も、人間ドックで早期発見をし、予防につなげることが可能です。日頃からできる健康対策としては、やはり生活習慣の修正が重要です。高血圧対策と同じく、減塩を意識したバランスのとれた食生活、適度な運動、ストレスの解消、規則正しい生活リズムを心がけ、様々な疾患の元凶となる悪い生活習慣を断ち切り、健康で質の高い毎日を送りましょう。
また、検査で気になる項目があったら、後回しにせず医師に相談することをお勧めします。

【監修医師】

有馬 久富(ありま ひさとみ)先生

福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 主任教授1993年九州大学医学部卒業。九州大学第二内科へ入局し、久山町研究に従事。

シドニー大学ジョージ国際保健研究所客員研究員、九州大学環境医学分野助教を経て、2008年より再びシドニー大学ジョージ国際保健研究所で講師として2年間、准教授として3年間大規模臨床試験に従事。
2014年より2年間、滋賀医科大学アジア疫学研究センターで特任教授として疫学研究に従事後、2016年4月より現職。専門分野は、高血圧・脳卒中の疫学および臨床研究。

※有馬先生への取材をご希望の際はCureApp広報までご連絡をお願いいたします。