高血圧の方のための、知っておきたい台風対策

台風シーズン到来。備えあれば患いなし!

高血圧の方のための、知っておきたい台風対策

厳しい暑さが続いています。気象庁の発表によると、10月にかけてこの厳しい残暑は続くようです。暑さだけでなく、前線による秋の大雨、これに加え局地的なゲリラ豪雨にも注意が必要な時期です。さらに心配なのが、毎年日本列島に大きな被害をもたらす台風です。主に7〜10月にかけて発生する台風は、8月に最も多く発生し、9月に最も多く上陸します*¹。台風の時期は様々な気象要素から体調に悪影響を及ぼしやすいと言われており、土砂災害、洪水、暴風、高波などの防災だけでなく、高血圧の観点からも台風への備えが大切です。
今回は、この時期だからこそ気を付けたい高血圧対策について解説していきます。

台風がもたらす様々な不調

台風が近づくと、気圧の変化が自律神経のバランスを乱す原因となり、頭痛やめまい、動悸など、様々な体調不良が生じます。体調不良とともに、今の時期の台風は、急激な気温差や交感神経の緊張ももたらし、血圧を上昇させるリスクが増えるので注意が必要です*²。

台風などの災害、重要なのは日頃からの生活習慣改善

台風をはじめとする様々な気象条件により、心身の不調や血圧の上昇をきたすことがあります。特に、台風は体調への影響以外にも、直接的な被害をもたらすこともあり、大きなストレスの要因となります。ストレスの多い状況では、交感神経が亢進しやすく血圧が上昇するだけでなく、食塩感受性を増大させ体の中から塩分を排出しにくくします*³。このような気象条件による、心身の不調、血圧の上昇の対処としては、生活習慣を改善することが重要です。規則正しい生活リズム、栄養バランスを意識した食事、適度な運動、良質な睡眠のほか、ストレスを溜めない工夫をすることで、気象の影響による心身の不調にも対処しやすくなります。

災害時には、高血圧が引き金となる重大な病気も急増します。脳卒中や心不全などの循環器疾患のリスクが1.5〜2倍になったというデータもあります*²。

天気予報などで台風の進路や接近状況などを事前に把握することも可能なので、予め余裕をもって準備しておきましょう。
https://www.jpnsh.jp/Disaster/guidelineall.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/46/5/46_563/_pdf

台風や地震に備えて防災グッズの見直しを

大正12年9月1日に関東大震災が発生し、その大惨事を忘れないために、内閣府により9月1日を防災の日、8月30日から9月5日まで防災週間と制定されています。また、台風の被害が多い時期であることから多くの自治体や企業が9月を防災月間としています。この機会にハザードマップや防災グッズを見直してみましょう。

もし、日頃から内服しているお薬がある場合は、1週間分のお薬とお薬手帳を普段持ち歩くカバンに入れるなど、常に携行しておくと安心です。お薬手帳のコピーを非常時持ち出し袋に入れておいてもよいでしょう。災害食については、最低3日分、可能であれば1週間分を用意しておくのが理想的です。災害食にも無塩や減塩のものもありますので、血圧が気になる方は、これを機に探してみても良いかもしれません。

また、備蓄している災害食は気付いたら消費期限が切れていた、ということも起きやすいので、日頃から日用品を予め少し多めに買い置きしておき、消費期限の近いものから使って都度買い足す“ローリングストック法”で常に一定量の備蓄を保っておくのもおすすめです*⁵。アルファ化米や食塩不使用の缶詰*⁶、水などの他、常温でも美味しい野菜をたっぷり摂れるスープ*⁷など最近は種類も豊富になっていますので、非常時のみならず日常食として備蓄しておくものよいでしょう。
*⁵https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/chapter02.html
*⁶https://www.inaba-foods.jp/information/salt
*⁷https://www.kagome.co.jp/products/gift/soup/#contents

被災地での高血圧Q&A

日本高血圧学会は、被災地の高血圧患者さんからのQ&Aを公開しています。
http://www.jpnsh.jp/files/cms/137_1.pdf

【監修医師】

有馬 久富(ありま ひさとみ)先生


福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 主任教授
1993年九州大学医学部卒業。九州大学第二内科へ入局し、久山町研究に従事。
シドニー大学ジョージ国際保健研究所客員研究員、九州大学環境医学分野助教を経て、2008年より再びシドニー大学ジョージ国際保健研究所で講師として2年間、准教授として3年間大規模臨床試験に従事。
2014年より2年間、滋賀医科大学アジア疫学研究センターで特任教授として疫学研究に従事後、2016年4月より現職。専門分野は、高血圧・脳卒中の疫学および臨床研究。

※有馬先生への取材をご希望の際はCureApp広報までご連絡をお願いいたします。