全てのフェーズで事業をドライブするデザイン組織をつくる

 


企画開発本部 デザイン部 部長

永田 昌一(ながた まさかず)

2023年5月入社


デザインコンサルティング会社、海外大手家電メーカーのUI/UXデザイナー、マネージャーを経験。その後、フルブライト奨学生としてマサチューセッツ工科大学(MIT)デザイン修士プログラムへ留学し、高齢者向けVRプラットフォーム開発など複数のスタートアップの立ち上げに参画。帰国後にスタートアップを共同創業し、セルフケア習慣化サービスのプロダクト統括や法人向け事業立ち上げ、事業管理に従事。2023年5月よりCureAppに参画し、デザイン部の部長としてデザインチームの組織改革を推進し、「つくる」と「売る」の両輪で事業に貢献できる体制を築いている。




命に寄り添うデザインへの挑戦


ーCureAppに入社を決めた理由を教えてください

前職では、フィットネスや瞑想のコンテンツを配信するヘルスケアスタートアップを共同創業し、事業・製品開発と経営に約5年間従事していました。事業の方向性を見直すタイミングで次のステップを模索していたところ、友人からCureAppを紹介されたことが転機となりました。

もともと私は仕事の「領域」自体にこだわりはないのですが「自分自身が実感をもてて、かつ貢献できる領域」で挑戦したいという思いは常に持っています。ただ、今医療という領域に携わっているのは、大学時代に建築関係の研究室で学んでいた際、「SIIN」という元パイロットが作った時計メーカーの存在を知ったことが影響しているかもしれません。このメーカーは、一瞬の判断が命に関わるパイロットや消防士のための時計を作っており、「究極のデザインは命に関わる」という事実に衝撃を受け、死ぬまでにどこかで関わってみたいと思うようになりました。意識はしていなかったけれど、これまでヘルスケアや医療分野に携わり続けてきたのは、その思いが縁に繋がっていたからかもしれないですね。

CureAppが取り組むDTx(Digital Therapeutics)の分野におけるデザインについて調べてみると、英語ですら整理された情報が見つからなかったのも入社を決めた理由の1つです。未知の分野でゼロから知見を積み上げ、自分自身がそれを体系化していくというCureAppでの挑戦に、強く心を惹かれました。また、自分で立ち上げたスタートアップで取り組んでいた組織開発の経験が通用するか試してみたい気持ちもあったので、組織の立て直しを任されたことも大きかったですね。



キャリアとプロセスを繋ぐ、デザイン部の進化


ー現在の業務内容を教えてください


デザイナーとしての業務の他、部長として主に「デザイン部の組織作り」「デザインのプロセス作り」「メンバーのキャリアに繋がる仕事作り」の3つに取り組んでいます。


「プロセス作り」に関しては、私の入社当時、自転車操業のような状態でなんとか踏ん張ってくれていたデザイン部の業務について、まずはスケジュールの考え方、デザイン業務の依頼方法、緊急案件発生時の対応、各担当者の役割分担などを、各部門と共に整理・連携することから始めました。そして、デザイナーが「制作」よりも前から関わることで意思決定に貢献できるプロセスを導入し、アウトプットの質を高め、かつ業務を効率的に進められる体制を作ってきました。業務プロセスは以前よりも安定してきましたが、現在もより良い形を目指して今でも試行錯誤を繰り返しています。

「組織作り」については、まず部門の役割を「作るためのデザインであるプロダクトデザイン」と「売るためのデザインであるコミュニケーションデザイン」の大きく2つに分け、メンバーのアサインを再整理しました。そこから、業務の波に耐えられるよう業務委託デザイナーの体制を整備したり、会社のフェーズ的に強化が必要な「コミュニケーションデザイン」の領域を強くするための採用活動を推進してきました。また、デザイン部全体としてのコミュニケーションやデザインレビューの方法の整備、CureApp独自のデザインスキルマップの作成なども行なっています。プロジェクトに直接関わる部分ではないですが、デザイン業務に間接的に大きな影響を与える重要な部分だと思っています。



そして「メンバーのキャリアに繋がる仕事作り」は、組織作りに重なる部分もありますが、私が一番重要視しているものです。やはりスタートアップで働くことの価値は「新しいことをやれること」にあると思いますし、極端な話それができなくなるとみんな辞めていってしまうと思うんです。なので、それぞれが一歩でも半歩でも今と違うことをできるように、新たな業務を作ったり、業務のやり方を変えたりすることを意識しています。

このあたりは、スキルマップも活用しながら、各メンバーとキャリアについて一緒に考えたり、チーム内で議論したりしています。もちろん、メンバーのキャリアに繋がる仕事でも、事業や組織、会社への貢献に繋がっていないと意味がないので、それらが重なる部分で事業のためにできることがないかを常に模索しています。




現状はデザイナーが担っていないけれど、デザイナーが関わることによってより良くなる仕事って社内に実はたくさんあると思うんです。社内のありとあらゆる部門やチームと関わり、それぞれの業務を理解した上で、デザインの幅を縦にも横にも広げ、全てのフェーズで事業をドライブできるデザイン組織になれればと考えています。


挑戦と成長が生み出す「仕事の楽しさ」



ーそのお仕事は、CureAppにとってどんな意義のあるものだとお考えですか


成長実感があって働き続けたくなる環境をつくる」ということだと思います。

そのために「楽しさ」という観点も大事にしています。新しいことに挑戦する楽しさもありますし、今やっていることの意義を再定義したり、取り組み方を変えることによって、その中に楽しさが見つかることもあります。


楽しい仕事って、ワクワクするし頑張れるじゃないですか。メンバーからのフィードバックを通して、この楽しさというのがモチベーションやパフォーマンスにとても重要だと改めて実感しています。

スタートアップで浮き沈みがあるのは当然です。そんな中でも、新しいチャレンジを続け、自分たちの仕事の中に「楽しい」を持ち続けることが、組織や事業の成長に繋がると信じています。

仕事は「自分の存在意義をなくすこと」



ー普段仕事をする上で心がけていることを教えてください

自分も楽しく仕事をすることが一番ですが、「再現性を大事にする」ということも常に心がけています。極端にいえば自分がCureAppにジョインしたときから、自分が辞める前提で仕事を進めるという気持ちで業務に取り組んでいます。単発で仕事がうまくいっても、再現性がなければ次に繋がりません。担当者が変わってもうまくいくことが理想で、究極的には自分がいなくてもその仕組みが回り続けるのがベストだと考えています。”自分の存在意義をなくすために仕事をしている”と言っても過言ではないかもしれません。

あとは、他部門との関係性も意識しています。まずは相手の役に立ち、デザイン部と一緒に仕事をすることを「なんか楽しい」と思ってもらうことが始まりです。相手がやりたいと思っていることに寄り添い、100%もしくはそれ以上の成果を出せる存在でありたいと思っています。この時、自分たちが逆に邪魔になってしまわないように気をつけています。伴走しながらできることを探し、目的の邪魔になりそうなときは、後ろに一歩下がる。それを繰り返すことで少しずつ信頼してもらえるようになり、最近では目的そのものから議論させてもらったり、新しい仕事を一緒に作ったりすることができるようになってきました。



仲間への尊敬が、仕事の楽しさと自信につながる


ー印象的に残っている「”CURE"*なできごと」を教えてください

*CUREとは:CureAppのMission、Visionを達成するために設定した4つの行動指針(Values)で、日頃よりメンバー皆が大切にしているものです。




日常の中でCUREを感じる瞬間はたくさんありますが、私が特に大切にしているのは、デザイン部が他部門と積極的に仕事をすることです。以前、デザイン部のメンバーが、それまであまり接点が無かった社内のデータ分析専門家と打ち合わせをする機会がありました。彼らは私たちが知りたいことを察して、事前にデータを分析し、仮説まで立ててくれていました。打ち合わせに参加したメンバーが、その素晴らしい分析結果と仕事の姿勢に「プロはすごい!」と純粋に感動している姿を見て、すごく嬉しくなりました。

CureAppには、様々な分野の素晴らしいプロがたくさんいます。そんな他分野の仲間と仕事の中で接点を持ち、お互いの仕事に感動、尊敬し、一緒に仕事ができることは、CureAppで働く理由の1つになると感じています。

これは一つの例ですが、能動的に他部門と連携するカルチャーが、部門としても、そして会社としても、強くなってきたと感じています。

組織の礎を固め、未開の領域へ挑み続けるデザイン部のミッション



ーこれからCureAppで挑戦したいことがあれば教えてください


私がジョインして最初の半年くらいは、業務の進め方が変わったり、制作以外の新しい業務が増えていったので、メンバーはかなり抵抗や戸惑いがあったと思います。そんな中、よく付いてきてくれたなぁと(笑)1年前と比べて、仕事の量も幅も2倍以上になっているんじゃないでしょうか。一緒に仕事を広げてくれているメンバー、そして我々を受け入れてくれる他部門の方々には本当に感謝しています。


最近は「安定しているね」と言われることが多くなりましたが、実感としてはようやく家の基礎が整ってきたというイメージです。DTxデザインの言語化や知見共有の仕組みづくり、キャリア形成の仕組みづくりなど、まだまだ組織として作っていかないといけない部分もありますし、事業プロセスの中で貢献できていない部分も当然あります。


これからもデザインが貢献できる領域を探し続け、「DTxデザインとユーザー理解のプロ集団として、すべてのフェーズで事業をドライブする」というデザイン部のミッションの実現に少しでも近づければと思います。