高血圧対策は減塩だけじゃない! 高血圧学会が発表した新指標 「尿ナトカリ比」とは?
減塩は高血圧の方の生活習慣上、重要な対策の一つです。
2024年10月8日、日本高血圧学会は、塩分(ナトリウム)と塩分の排出に寄与するカリウム摂取のバランスをあらわす指標「尿ナトカリ比」に関する目標値と適切な評価方法を提唱するため、コンセンサスステートメントを公表しました*¹。
血圧コントロールをする上で注目すべき「尿ナトカリ比」を通じて摂取する食塩を減らすだけではない対策をご紹介します。
出典:一般社団法人 ナトカリ普及協会
尿ナトカリ比とは、尿で排泄されたナトリウム濃度(mmol/L)とカリウム濃度(mmol/L) の比のことです。摂取したナトリウム(食塩)の約 90%、カリウムの 70〜80%が尿で排泄されるため、食事から摂取したナトリウムとカリウムの比率を、尿ナトカリ比を見ることで客観的に評価することができます。
集団で評価した場合、尿中のナトリウムやカリウムの単独の値よりも、尿ナトカリ比の方が、血圧値との関連がより強く示されることが報告されています*²。
つまり、重要なのはそれぞれの摂取量よりもバランスです。食塩の摂取量を減らすことはもちろんですが、カリウムを多く含む食品の摂取量を増やすことも、高血圧管理のためには必要です。
日本人は塩分過多でカリウム不足
令和元年の国民健康・栄養調査*³によると、目標食塩摂取量が成人男性で7.5g未満/日、成人女性で6.5g未満/日 *⁴ 、高血圧患者さんでは6g未満/日*⁵であるのに対し、日本人の男性は 10.8 g/日、女性は9.1g/日摂取しています。徐々に低下傾向にあるものの、目標値には遠く及んでいません。
一方、カリウム摂取量は、男性は2,382mg/日、女性は2,256mg/日です。2012年に公表されたWHOのガイドラインでは目標値を 3,510mg/日と提唱していることから、大きく不足しており、さらに積極的な摂取が必要なことがわかります。
食塩摂取量が多く、カリウム摂取量が少ない日本では、減塩とカリウムの積極的摂取を併せて意識することがとても重要です*⁵。
カリウムを摂取しよう!
カリウムの量を参考に、食事を意識してみましょう。
※文部科学省食品データベース*⁶より
⚠単独の食事成分ではなく食事パターンを意識し、バランスよく摂取することが大切です。ただし腎臓の機能が低下している方は、カリウムの摂取量について医師と相談してください。
*¹ https://www.jpnsh.jp/data/pressrelease_241008.pdf
*² https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25398734/
*³https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html
*⁴ 日本人の食事摂取基準(2020年版)
*⁵ 高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)作成委員会(p.65)
*⁶ https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
【監修医師】
有馬 久富(ありま ひさとみ)先生
福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 主任教授
1993年九州大学医学部卒業。九州大学第二内科へ入局し、久山町研究に従事。
シドニー大学ジョージ国際保健研究所客員研究員、九州大学環境医学分野助教を経て、2008年より再びシドニー大学ジョージ国際保健研究所で講師として2年間、准教授として3年間大規模臨床試験に従事。
2014年より2年間、滋賀医科大学アジア疫学研究センターで特任教授として疫学研究に従事後、2016年4月より現職。専門分野は、高血圧・脳卒中の疫学および臨床研究。
※有馬先生への取材をご希望の際はCureApp広報までご連絡をお願いいたします。
2024年10月8日、日本高血圧学会は、塩分(ナトリウム)と塩分の排出に寄与するカリウム摂取のバランスをあらわす指標「尿ナトカリ比」に関する目標値と適切な評価方法を提唱するため、コンセンサスステートメントを公表しました*¹。
血圧コントロールをする上で注目すべき「尿ナトカリ比」を通じて摂取する食塩を減らすだけではない対策をご紹介します。
出典:一般社団法人 ナトカリ普及協会
カリウムについて
人体に必要なミネラルであるカリウム。
野菜や果物などに多く含まれ、ナトリウムの尿への排出を促進する働きがあり、摂りすぎた塩分の調整に役立ちます。
尿ナトカリ比とは?*¹野菜や果物などに多く含まれ、ナトリウムの尿への排出を促進する働きがあり、摂りすぎた塩分の調整に役立ちます。
尿ナトカリ比とは、尿で排泄されたナトリウム濃度(mmol/L)とカリウム濃度(mmol/L) の比のことです。摂取したナトリウム(食塩)の約 90%、カリウムの 70〜80%が尿で排泄されるため、食事から摂取したナトリウムとカリウムの比率を、尿ナトカリ比を見ることで客観的に評価することができます。
集団で評価した場合、尿中のナトリウムやカリウムの単独の値よりも、尿ナトカリ比の方が、血圧値との関連がより強く示されることが報告されています*²。
つまり、重要なのはそれぞれの摂取量よりもバランスです。食塩の摂取量を減らすことはもちろんですが、カリウムを多く含む食品の摂取量を増やすことも、高血圧管理のためには必要です。
日本人は塩分過多でカリウム不足
令和元年の国民健康・栄養調査*³によると、目標食塩摂取量が成人男性で7.5g未満/日、成人女性で6.5g未満/日 *⁴ 、高血圧患者さんでは6g未満/日*⁵であるのに対し、日本人の男性は 10.8 g/日、女性は9.1g/日摂取しています。徐々に低下傾向にあるものの、目標値には遠く及んでいません。
一方、カリウム摂取量は、男性は2,382mg/日、女性は2,256mg/日です。2012年に公表されたWHOのガイドラインでは目標値を 3,510mg/日と提唱していることから、大きく不足しており、さらに積極的な摂取が必要なことがわかります。
食塩摂取量が多く、カリウム摂取量が少ない日本では、減塩とカリウムの積極的摂取を併せて意識することがとても重要です*⁵。
カリウムを摂取しよう!
カリウムの量を参考に、食事を意識してみましょう。
※文部科学省食品データベース*⁶より
⚠単独の食事成分ではなく食事パターンを意識し、バランスよく摂取することが大切です。ただし腎臓の機能が低下している方は、カリウムの摂取量について医師と相談してください。
*¹ https://www.jpnsh.jp/data/pressrelease_241008.pdf
*² https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25398734/
*³https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html
*⁴ 日本人の食事摂取基準(2020年版)
*⁵ 高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)作成委員会(p.65)
*⁶ https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
【監修医師】
有馬 久富(ありま ひさとみ)先生
福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 主任教授
1993年九州大学医学部卒業。九州大学第二内科へ入局し、久山町研究に従事。
シドニー大学ジョージ国際保健研究所客員研究員、九州大学環境医学分野助教を経て、2008年より再びシドニー大学ジョージ国際保健研究所で講師として2年間、准教授として3年間大規模臨床試験に従事。
2014年より2年間、滋賀医科大学アジア疫学研究センターで特任教授として疫学研究に従事後、2016年4月より現職。専門分野は、高血圧・脳卒中の疫学および臨床研究。
※有馬先生への取材をご希望の際はCureApp広報までご連絡をお願いいたします。