進むデジタル療法、新しい治療はアプリで行われる時代へ アジア初、医師が処方する「治療用アプリ」が国内で誕生
進むデジタル療法、新しい治療はアプリで行われる時代へ
アジア初、医師が処方する「治療アプリ」が国内で誕生
ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカーが薬事承認を取得
〜ニコチン依存症治療においては、世界初〜
株式会社CureApp(本社:東京都中央区 代表取締役社長:佐竹 晃太)は、アジア初の治療用アプリである「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」(以下、CureApp SC)について、2020年8月21日付けで厚生労働省より製造販売承認(薬事承認)を取得したことを報告します。今後は2020年度中の保険適用と上市を目指し、準備を進めてまいります。
CureApp SCについて
CureApp SCは、禁煙外来で治療を受ける患者様の院外での禁煙をサポートするために医師から処方される医療機器です。本製品は患者用アプリ・医師用アプリ・ポータブルCOチェッカーの3つから成り立ちます。
患者アプリは常に患者様の側にあるスマートフォンの特性をいかし、個々の患者様の治療状況や体調などに合わせて個別化したガイダンスを適時提供します。またセットとなるポータブルCOチェッカーを使用し、呼気中の一酸化炭素の濃度の精緻な計測が自宅で可能となります。このように、在宅や勤務中など医療者の介入が難しい「治療空白」期間を治療用アプリが支援することで、禁煙継続率が向上します。医師用アプリは、患者用アプリで入力された内容に基づく前回の診察以降の患者様の様子を医師に詳細に提供することができるため、より効率的で質の高い禁煙治療を可能にします。
疾患治療のために医師が患者様へ処方する「治療用アプリ」は新しい治療法として国内外で注目されており、すでに欧米では国の承認を得て保険償還されるかたちで実際に患者様へ処方され始めています。CureApp SCも治験によって安全性と有効性が確認されており、今年6月19日に厚生労働省薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会において、薬事承認に向けた部会了承を得て、この度8月21日に厚生労働省より正式に薬事承認されることとなりました。なお、ニコチン依存症への有効性で国から承認を受けた治療用アプリは、本製品が世界で初めてとなります。
CureApp SC概要
- 販売名:CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー
- 一般名:禁煙治療補助システム
- 承認番号:30200BZX00271000
- 使用目的又は効果:ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の治療補助
- 承認年月日:2020年8月21日
- 製造販売業者:株式会社CureApp
本品の治験概要(CureAppブログ)
ニコチン依存症について
ニコチン依存症は薬物依存症の一つで、ニコチンに対し「身体的依存」と「心理的依存」を有します。離脱症状を伴う身体的依存には禁煙補助薬が有効ですが、心理的依存には従来の禁煙治療では診療時以外に医療者が治療介入することは難しく、患者様は孤独な戦いを強いられるという課題がありました。禁煙外来の禁煙成功率は治療開始後1年では30%未満にとどまっており(*1)、より有効な治療法の登場が待たれていました。
また、本邦での医療費高騰は大きな社会的問題として認識されています。喫煙に起因する超過医療費や労働力損失等による経済損失は約4.3兆円と概算され(*2)、本治療アプリを通じて効果的な禁煙治療を行うことによる喫煙者の減少は、将来の医療費抑制につながると考えています。
*1:ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における 禁煙成功率の実態調査 報告書(平成21年度調査より)
*2:喫煙と健康 - 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000550455.pdf)
株式会社CureApp 代表取締役社長兼医師 佐竹晃太のコメント
創業6年目で日本初の治療用アプリを誕生させることができました。世界では既に治療用アプリが処方され始めている国もあり、現在世界中で多数の企業が研究開発を進めています。しかし当社のようにしっかりと治験を行い国から承認を受けている事例はまだ多くはありません。呼吸器内科医としてこれまで多くの患者さんを診療してまいりましたが、今回薬事承認を受けたニコチン依存症治療アプリは日本の喫煙者の皆さんに新しい禁煙体験をもたらすものと確信しております。「アプリで治療をする」というこの新しい治療法の普及に今後力を入れるとともに、ニコチン依存症以外にも様々な疾患において患者様のお役に立てるよう研究開発にも引き続き邁進いたします。
株式会社CureApp について
株式会社CureApp は、高度なソフトウェア技術と医学的エビデンスに基づいた疾患治療用プログラム医療機器創出に向け、研究開発を行い、製造販売を目指すMedTech ベンチャーです。「アプリが病気を治療する効果を持つ」という新しい医療サービスを日本で初めて実現するために、病気を治療するアプリである「治療アプリ」の開発に取り組んでいます。
現在、研究開発中の治療アプリは慶應義塾大学医学部内科学(呼吸器)教室と共同開発のニコチン依存症治療アプリ、東京大学医学部附属病院と共同開発・臨床試験中の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療アプリ、自治医科大学内科学講座循環器内科学部門と共同開発・治験中の高血圧治療アプリがあります。
加えて、これら医療機関向け治療アプリの開発で蓄積した知見を活用し、民間法人向けモバイルヘルスプログラムの「ascure(アスキュア)卒煙プログラム」を提供し、180 を超える多くの企業や健康保険組合、自治体などへの導入をいただいています。
さらには、日本で生み出したモデルをベースに「日本発のデジタルヘルスソリューション」として、順次グローバルにも展開していく予定です。