国内初!減酒治療補助アプリ薬事承認取得 ~今後、保険適用を目指す~
【アルコール依存症とは】
アルコール依存症は長期間にわたり多量に飲酒した結果、アルコールに対して精神依存や身体依存をきたす精神疾患です。明らかに有害な事象が想定されるにも関わらず飲酒習慣を変えず、自身で飲酒量をコントロールできない場合には、アルコール依存症が疑われます。
アルコールが原因でおこる疾患は多岐にわたり、高血圧、肝障害、がんなど重篤な疾患も含まれます。さらに、社会的影響も大きく事故や事件に巻き込まれる可能性や家族関係の破綻、労働機会の損失を招く原因ともなり得ます。深刻な影響をもたらす可能性のあるアルコール依存症の生涯経験者は推計107万人※2に上りますが、専門的な治療を受けている者は国内では約5万人※3に留まっており、未治療の患者さんは100万人を超えるとされています※2。さらに、アルコール依存症という重篤な症状のイメージの定着から、疾患を自覚していない方も含めると、潜在患者数はより大きいものと考えられ身近な疾患であるといえます。
アルコール依存症の治療は心理社会的治療が中心となり、現状はほぼ専門医療機関で提供されています。従来の治療目標は断酒でしたが、より速やかに治療導入ができるよう減酒も治療目標となり得ることが治療マニュアル※4で示されています。症状が重篤になる前に早期に治療を開始することが望まれますが、身近に受診できる医療機関は不足しており専門医療機関の受診のハードルの高さから、深刻化してから受診するケースが後を絶たず、早期治療に繋がらない現状は大きな課題となっています。
【本治療アプリについて】
本治療アプリは、減酒が目標となりうる患者さんを対象に、心理社会的治療を補助します。患者さんは日々の飲酒量や体調を「患者アプリ」に入力します。その情報を基に、アプリが疾患に関する情報提供や、個別化された目標の提案を行い、減酒に向けた行動変容を促します。医師は「医師アプリ」で患者さんごとのデータや心理社会的治療の支援コンテンツを確認することができます。
患者さんはアプリを使用することにより診察外の時間においても疾患に関する学習に取り組んだり、飲酒量を減らす行動を効果的に実践することが可能となります。医師は限られた診察時間の中で患者さんの日々の飲酒状況、必要な支援を確認することができるため、診療の質の向上が期待できます。
本治療アプリを、従来の専門医療機関に加えて非専門医療機関(アルコール依存症専門以外の精神科や一般内科など)でも処方いただけるようにすることで、アルコールとの付き合い方に悩む多くの患者さんの受診を促し、患者さんの気持ちに寄り添った治療の提供を補助することを目指して参ります。
【概要】
【今後の予定】
本治療アプリの治験概要についてはこちらをご覧ください。詳細な結果は国内外の学会、学術誌に発表する予定です:https://cureapp.blogspot.com/2024/02/cureapp_01605379749.html
今後の販売活動は販売ライセンス契約を締結したサワイグループホールディングス株式会社が行います:https://cureapp.blogspot.com/2024/08/cureapp-1.html
【治療アプリについて】
スマートフォンなどの汎用デバイスで用いるアプリのうち、治療を目的とした医療機器として厚生労働省の承認等を受けたものを「治療アプリ(デジタル セラピューティクス、DTx)」といいます。治療アプリは、医師が治療のために処方し、患者さんが利用するソフトウェアの医療機器(プログラム医療機器)です。
参考:2025年加速する治療アプリ開発と社会実装https://cureapp.blogspot.com/2025/01/2025.html
国内外の治療アプリの開発状況※5
※1:自社調べ ・調査年月:2025年2月 ・調査範囲: 製造販売承認等を受けたアルコール依存症および減酒治療アプリ
※2:Osaki Y、 Kinjo A、 Higuchi S, Matsumoto H、 Yuzuriha T、 Horie Y、 et al.Prevalence and Trends in Alcohol Dependence and Alcohol Use Disorders in Japanese Adults; Results from Periodical Nationwide Surveys. Alcohol Alcohol. 2016 Jul;51(4):465–73.
※3:樋口進、齋藤利和、&湯本陽介. 新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン.2018
※4:飲酒量低減治療マニュアルポケット版【第1版】2019年
※5:「野田侑子 佐竹晃太 精神科臨床における治療アプリの可能性 臨床精神医学(2024) 53 1385-1390」より論文投稿時点の情報を基に作成。